【最新】中国市場で売れている日本製品
- Yasushi Hikiyama
- 2023年5月30日
- 読了時間: 4分
更新日:2023年6月6日

この記事では、今後の海外販売における興味深いトピックに焦点を当て、
新たなチャンスと課題について考察します。
目次
10年前に中国で人気だった製品
現在中国で人気の日本製品
近年、中国市場において「日本製だから」売れる時代は過ぎ去った。
約10年前は、日系企業の人気は凄まじく、
「パナソニック」や「SONY」などをはじめとする日系ブランドが中国市場においてシェアを拡大してきた。
当時の「日本製」=「高品質」で高級品の代名詞だった。
しかし現在では、中国が世界2位の経済大国となり、
世界中のブランドが中国の14億人の巨大な市場でしのぎを削り、
「日本ブランド」だから高品質=高級品というアドバンテージは減少し続けている。
【10年前売れていた商品】
車
カメラ
テレビ
エアコン
10年前と違い、中国市場において現在人気のある日本製品は全く違う。
今回は、無視できない巨大市場で今後も日本企業が戦っていくにあたり、
中国市場のトレンドや戦略に必要な考えなどをエッセンスとして比較していきたい。
【中国市場の変化】
| 日本ブランド | 現状 |
自動車 | TOYOTA、HONDA、NISSAN | 現地のEVメーカーや、新興自動車メーカーの台頭著しい |
カメラ | Cannon、Nikon、Olympus | スマートフォンの参画により、カメラ市場の減少 |
白物家電 | SONY、Panasonic、東芝、日立 | 現地メーカーや韓国メーカーの台頭によりシェア減少 |
1.家電製品
中国の市場開放後、日本ブランドは家電製品を中心に中国国内でシェアを拡大。
1990~2000年をピーク期に、中国市場内で冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコンなどの市場シェア上位には日本企業のブランドが上位を独占した。
しかし2000年以後、美的(midea)やハイアールなど中国メーカーの技術力が拡大し、
世界の工場として着実に資金を蓄えつつあった国内メーカーは徐々に存在感を高めた。
それにより日系メーカーのシェアは徐々に奪われ、2012年以降、テレビ、洗濯機、エアコンなどの販売シェアは如実に減少し、シェアは23%から4%まで減少した。
2.自動車
自動車分野においても日本企業の優位性の低下は如実に数字に表れている。
2022年日本企業の新車の販売台数は409万台で、前年比10.3%減少している。
中国全体でみても、シェア20%を下回りつつある現状だ。
コロナ感染症による物理的な経済交流による影響ももちろんあるが、
現在中国でも欧米のEVトレンドは顕著に市場に影響を与えており、
ガソリン自動車の開発から、EV自動車の開発に開発予算を投じている状況である。
実際、BYDが発表した仰望(Yangwang=ヤンワン)の新車は、
100万元=1950万円クラスにもなるもので、中国版LEXUSにあたる立ち位置だ。
機能性などは日本製を凌駕し、
今後も高機能な車の発表が控えていることを考えると、ヨーロッパや日本を意識している
ことは間違いない。
3.デジタルカメラ
カメラ分野は、昔から中国のみならず、日本企業が優位性を保ってきた分野の一つだ。
CannonやNikon、PENTAXなど日本企業の精密機器への信頼は今も健在だ。
一方で、スマートフォンの台頭によりカメラの高機能化に伴い、わざわざデジタルカメラを購入する機会は減少した。この波は世界中にも当てはまることで、Cannonは生産スタートから32年の歴史がある中国珠海工場を閉鎖した。
中国市場で現在人気のある製品
2022年の対中国輸出データでは、
・化粧品 2.4%増加
・貴金属製品 1.9%増加
・洗剤 1.1%増加 と拡大している。
現在中国を中心に、越境ECの世界規模は急激に成長しており、
2026年には取扱金額、530兆円にも上るとの試算も出ている。(令和3年度デジタル取引環境整備事業報告書)
中国人が越境ECを介して、日本製品を2兆1382億円購入しており、
この金額は、日本が中国製品を輸入している金額が365億円と考えると、
その取引金額は、約59倍もの差がある。
改めて、中国人の消費意欲は無視できないものだ。
| 有名ブランド |
化粧品 | 資生堂、KOSE、SK-Ⅱ、LION、コスメデコルテ |
MEDICAL、薬 | 久光製薬 |
食品・お酒 | サントリー、アサヒ、キリン、明治、日清 |
アウトドア | DAIWA、シマノ、YAMAHA |
1.化粧品
化粧品の分野における中国への輸出量は毎年増加しており、
この10年間で10倍以上増加している。
2020年に中国が日本から輸入した化粧品は前年比30%以上増加し、
約6,000億円に達し、今トレンドである韓国コスメやフランス、アメリカなどの
他の主要な供給国を超えている。
2.食品
農林水産物・食品の分野では、2021年の中国への輸出額は2,224億円となり、
中国が初めて最大の輸出相手国となった。
2022年は2,738億円にのぼり、今後さらに増加傾向にある。
特にジャパニーズウィスキー、日本酒、お菓子、ホタテ貝などが人気商品だ。
理由として、2022年RCEP協定が発効して以降、
日本酒やホタテ貝などへの関税が大幅に下がったことに加え、
中国国内で日本酒の大々的なプロモーション活動により、日本酒人気が影響している。
その他だとゲーム機器や、以前から人気のある健康補助関連の商材、
精密機械に準ずる釣り具や折り畳み自転車なども人気を博している。
中国市場についての考察
現在中国市場は世界で最も大きな消費市場だといっても過言ではありません。
そのトレンドは、今後も続くことが予想されます。
日本企業としても、
・RCEP協定により、関税引き下げや日本政府の強力なバックアップがある
・中国でのSNS等の拡散により認知されやす
・現地メーカーとの生産競争に現状は勝てる状況
などの追い風的要素も多いため、
日本企業には、大きなビジネスチャンスがあるといってもよい。
もちろん一方で、現状の米中の政治的リスクや、一部でささやかれる中国バブルという声も
無視はできないため、中国に依存してしまうことはリスクになる可能性も高い。
今後も越境ECをはじめとした、日本製品の青田買いは続くと予測されているので、
日本ブランドの「安心・安全・高品質」な製品を、
購入いただく土壌をしっかりと作っておくことが重要になる。
どちらにせよ、時代の変化に柔軟に対応し、消費者の嗜好に合わせながら
日本の強みを提案できる製品を提案できる状況を、今後も作っていきたい。
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